[研修]第42回日本精神保健福祉士協会全国大会及び第5回日本精神保健福祉学会報告

iwatemsw2006-06-17




 去る2006年6月8日(木)〜10日(土)にかけて、日本精神保健福祉士協会の標記大会(名古屋国際会議場)に参加をしてきました。協会活動や全国の精神保健福祉の動向を知ることができたので、報告をさせていただきます。
 自主企画1「障害者自立支援法」を考える 基調報告「障害者自立支援法精神障害者」で池末美穂子氏(マインドはちおうじ)は精神障害の特性にそぐわない制度内容を分析し、「性急な法施行により現場・当事者は混乱している。」として、改正を望んでいく姿勢を提言した。

 シンポジウムでは関係者それぞれの立場から意見を出し合い、森 隆夫氏(あいせい紀年病院理事長 愛知県精神病院協会副会長)は「自立支援法は3障害の枠を無くした等いうが、財源問題からの苦肉の策であり医療と福祉の衰退になる悪法である。」「34条は関係者が強力に反対し、国から実際に実施しなくてよいと言わせたザル法である。自立支援法も同様にすべき。」と発言した。増子恵子氏(生活訓練施設守牧施設長)は医療と福祉が話し合い、互いに信頼しあうことが本人の希望に沿うことに繋がると提言した。水谷いずみ氏(共和病院 医療福祉課課長)は手続きが複雑で、当事者にも混乱を招いている状況を報告し「2年後の法改正にむけ検討が重要。」との意見が述べられた。竹内浩氏(名古屋市精神保健福祉センター所長)は「3障害の中で精神障害者数の割合は小さく、対象となるサービスも少ない。精神保健福祉センターの保健業務は増大し、福祉業務は縮小された。」と行政サイドからの苦悩を述べた。

 総会は混乱もなく進行され、生涯研修制度(案)について中間報告があった。

 学会(分科会)では全国の医療機関や社会復帰施設などの取り組みを発表するもの以外に、学術的発表や統計調査発表なども増えてきた感がありました。内容に興味あるものばかりで時間の制約があったことが悔やまれる学会でした。

 特別講演「今後の社会福祉専門職制度のあり方について」では、厚労省より介護保険制度改革・自立支援法などにおける社会福祉士の活躍の場の拡大と重要性が強調された。一方で、今後の精神保健福祉士のあり方についての課題提起であると感じた。


 今大会の注目は自立支援法であり、精神障害者の生活を支える専門職として課題を取り上げて改正を求めていくという方向性がみられた。将来的に介護保険との統合が予定され応益負担、成果主義が盛り込まれた。個人的には,障害の捉え方が本人を改善する「医療モデル」から環境を変えて暮らしやすくする「社会モデル」へ転換してきていることを考えると、理念と現実がかけ離れている思いです。

 来年度は6月7日〜9日に宮崎大会が開催されます(’08横浜大会,’09沖縄大会?)。


 ドイツワールドカップ開幕で賑わう中,梅雨入りが心配された天気も持ちこたえ、とてもすごしやすい名古屋でした。名古屋名物といえば手羽先ということで、「世界の山ちゃん」でご馳走になることもできました(土手煮が美味っ!)。
 大会運営に携わった方々に深く感謝いたします<(_ _)>    (E)